最初の晩餐 ②
2016年 8月24日 益城町 東無田集落にて
「第2回 最初の晩餐 ~ La Prima Cena ~」のご報告と御礼
昨日、東無田集落で第2回目となる「最初の晩餐」を開催しました。
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長文となりますが、お付き合いください。
繰り返しとなりますが、
益城町東無田集落は120軒、400人ほどの専業農家を営む人が大半の美しい集落「でした。」
僕が初めて訪れたのは5月1日に益城の小学校へ炊き出しに行った後で「全壊集落」になった後でした。
集落は9割全壊、残っている家も半壊もしくは建物は立っているけれど、3mほどずれたり、見事に斜めになっていたり、畑の真ん中を2mほどの幅の断層がそこまで続いてるのか、分からないくらい縦断し、家々を破壊している様など、まさに地獄のような風景。
僕が行った当時は、あまりにも危険で、メディアの取材が全く入ってなかったそうで、その存在は知られていませんでした。 その後、多くのメディアが取り上げられ、一躍知られることとなりました。
炊き出しを手伝ってくれたウルトラハウスの今村さんのお知り合いの中村さんご夫妻を訪ね、集落を案内してくださいました。 集落の変わり果てた姿に絶句し、涙が止まりませんでした。
集落の皆さんが仰ったのは「私たちは、もう一度、この集落を立て直し、灯りをともしてみせる!」という力強いお言葉でした。
その言葉に、自然と僕は「何かお手伝いさせてください。集落の人たちが集まれるようなお食事会。みんなで会って頑張ろう!ということを誓い合う『最初の晩餐』をやりましょう!」
もしかしたら、集落自体がダメになるかもしれない場所。 もしかしたら「最後の晩餐」になってもおかしくない場所。
だからこそ、みんなで力を合わせて、もう一度、復活するために一堂に会する炊き出しでも、ボランティアでもない「料理人がおもてなしをする出張レストラン」という「最初の晩餐」のコンセプトが自然と頭に浮かびました。
そして、6月中旬に「最初の晩餐」を開催しました。 おかげさまで多くの住民の皆様から喜びと「またやってほしい!」というリクエストの声を頂き、多くの仲間たちと集落の皆様の協力で昨日、2回目を開催させて頂きました。
今回は村の皆さんが自発的に「私たちも何かをしよう!」ということで、集落の夏祭りとの共催となりました。
まずは、アルチザンクラブの仲間たち、中村副会長、本田幹事、森井さん、田尻君、増永君、相藤さん、持田さん、彼らの協力がなければ、このコンセプトは実現しませんでした。本当にありがとう!! 僕は素晴らしい仲間たちに恵まれています。
そして、それを支えてくれたのが、渕上シェフはじめ九州イタリア料理協会のシェフの皆様。本当にありがとうございます。彼らの存在が最初の晩餐を、より素晴らしい支援にしてくれました。
そして、ウルトラハウスの今村さん。彼女が今回も調整役を買って出てくれました。彼女がいなければ、最初の晩餐は実現しません。いまむー、本当にありがとう。
そして、協力してくれた未来ちゃん、スマイルカフェさん、キリンビールさん、野菜の協力をしてくださった生産者の皆様、本当にありがとうございます。
そして、今回駆けつけてくれたシェフも豪華でした。 出張料理人の小暮シェフ、そして料理マスターズの同期である岩手のロレオールの伊藤シェフ、奈良のアコルドゥの川島シェフご夫妻が、お忙しい中、ご協力してくださいました。
他にも多くの皆さまのご協力で無事に最初の晩餐を終えることができました。
本当にありがとうございます。
今回、最もうれしかったのは、前回の最初の晩餐の後、集落のお母さんたちが「私たちも前を向いて、明るく生きていかなければならない!!」と、踊りのサークルを作られ、今回の夏祭りで披露してくださり、胸が熱くなりました。 そのあとの子供たちの合唱では、涙してしまいました。
夏祭りで当たり前のような風景。 当たり前の風景が、こんなにも感動的で、美しいものかと、自分でも驚きました。
不安や恐怖を受け入れた集落の皆様の前を向いて生きよう!という強い意思を感じ、私自身も勇気づけられました。
最初の晩餐は、一旦、ここでお休みし、私たち自身も「被災者」 各々の復興の道を継続します。
報道が少なくなった熊本地震は未だ先の長い道のりです。
この文章をご覧の皆様にも忘れないで頂けたら幸いです。
最後にもう一度、ご協力くださったすべての皆様に感謝です。 本当にありがとうございました。
そして、昨日の最初の晩餐の最中に報じられたイタリアでの大地震。報じられたウンブリア州は僕が最初に修業を始めた地域。 お世話になった方々が心配です。